福岡詩麻

2021年1月19日

食事とマイボーム腺機能不全には関係がある!平戸度島スタディ

最終更新: 2022年4月23日

こんにちは。
 
大宮はまだ眼科西口分院
 
院長の福岡詩麻です。

わたしたちの身体は、
 
わたしたちが日々食べたもので
 
作られています。

ということは、
 
日々の食事が

病気に影響していることだって

大いにありえるということです。

食事とマイボーム腺機能不全
 
についての疫学研究の結果から、

普段の食事で

脂質とビタミンDを
 
たくさん摂取している方では、

マイボーム腺機能不全の方が

少ないことがわかりました!

わたしは、
 
LIME研究会の先生方と
 
涙のあぶらを分泌している
 
マイボーム腺についての
 
臨床研究をしています。

まばたきするたび
 
マイボーム腺から
 
分泌されるあぶら(マイバム)は、

涙の蒸発をふせいで、

目を守ってくれています。

マイボーム腺機能不全は、

涙のあぶらが少なくなったり
 
質が悪くなったりして、
 
ドライアイの主な原因になることが

わかっています。

このたび、

平戸度島スタディ
 
食事からの脂質・ビタミンDと
 
マイボーム腺機能不全との関係
 
についての研究が、

Journal of Clinical Medicine
 
という医学誌に
 
オンライン掲載されました!

Relation of Dietary Fatty Acids and Vitamin D to the Prevalence of Meibomian Gland Dysfunction in Japanese Adults: The Hirado–Takushima Study

Shima Fukuoka, Reiko Arita, Takanori Mizoguchi, Motoko Kawashima, Shizuka Koh, Rika Shirakawa, Takashi Suzuki, Satoshi Sasaki and Naoyuki Morishige

論文リンク>>無料ダウンロードはこちらから


 
「平戸度島スタディ」は、
 
マイボーム腺機能不全や
 
ドライアイについての疫学調査として、

LIME研究会主催で
 
2017年11月に
 
長崎県平戸市度島の
 
全島民の方々を
 
対象として行われた住民健診です。

LIME研究会のドクター、
 
長崎県の先生方、
 
協賛する企業の方々、
 
度島の方々、

多くの方のご協力とご支援のおかげで
 
実現しました。

食事や栄養素については、
 
東京大学医学部 社会予防疫学
 
佐々木敏教授にご指導いただきました。

みなさま
 
どうもありがとうございました!!

平戸度島スタディについて
 
LIME研究会ブログ

>>平戸度島検診の論文第1号がAJOにアクセプトされました

論文の内容について、
 
もう少しくわしく
 
ご紹介させていただきます。

サプリメントから
 
n-3系脂肪酸(オメガ3)を摂取すると、
 
マイボーム腺機能不全の治療に
 
効果があるという研究が
 
複数報告されています。

また、
 
有田玲子先生(LIME研究会代表)と
 
慶應大学の先生方が、

活性型ビタミンD3軟膏を
 
まぶたの縁にぬることで、
 
マイボーム腺機能不全の自覚症状や
 
検査所見が改善したという報告もあります。
 

(活性型ビタミンD3軟膏は
 
眼科の臨床で実際に使用できるものは
 
まだ発売されていません)
 

LIME研究会ブログ
 
>>活性型ビタミンD3軟膏のMGDへの効果 | LIME研究会

これまで
 
普段の食事からとっている栄養素が
 
マイボーム腺機能不全と
 
どんな関係があるのか?
 
という研究は、
 
日本では行われたことが
 
ありませんでした。

そこで、
 
「平戸度島スタディ」の一部として、

島民の方々の普段の食事についても
 
調べることになりました。

その結果、

●総脂質

●飽和脂肪酸

●オレイン酸

●ビタミンD

を食事から多く摂取している方では、
 
マイボーム腺機能不全の方が少ない

ということがわかったのです。


 
n-3系脂肪酸(オメガ3)の摂取量が
 
多い方と少ない方についても比べましたが、
 
マイボーム腺機能不全と診断された方の
 
割合には差がありませんでした。

n-3系脂肪酸(オメガ3)は、
 
α-リノレン酸がエゴマ油や亜麻仁油、
 
EPAやDHAが青魚の油などに
 
多く含まれています。

食生活が欧米化しているとはいえ、
 
日本人は欧米人よりも
 
魚を食べる量が多く、
 
その分多くのn-3系脂肪酸(オメガ3)を

摂取しています。

そのため、
 
今回の研究では
 
差がでなかった可能性があると
 
考えています。

わたしたちの身体は、
 
わたしたちが日々食べたもので
 
作られています。

なのに、

食事と目の病気との関係は
 
まだまだわかっていないことだらけです。

これからも、
 
目の病気の予防や改善の

お役に立てますよう、
 
さらに研究を続けていきたいと
 
思っております。

LIME研究会
 
共著者の先生方と

写真後列左から

鈴木崇先生(東邦大学医療センター大森病院)

溝口尚則先生(溝口眼科)

森重直行先生(大島眼科病院)

前列左から
 
川島素子先生(慶應大学)

高静花先生(大阪大学)

有田玲子先生(伊藤医院、LIME研究会)

白川理香先生(東京大学)

福岡

(2018年臨床眼科学会にて)

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