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低濃度アトロピン点眼薬 リジュセア®ミニ点眼液0.025%による子どもの近視進行抑制治療

  • 執筆者の写真: 福岡詩麻
    福岡詩麻
  • 7 日前
  • 読了時間: 6分

更新日:20 時間前



大宮はまだ眼科西口分院では、低濃度アトロピン点眼薬 リジュセア®ミニ点眼液0.025%による近視進行抑制治療を2025/5/16(金)から行っております。


1日1回寝る前に点眼することで、近視の進行をおさえる治療です。




近視とは


眼球が前後に伸びて、眼球の奥行き(眼軸長)が長くなり、ピントが網膜に合わなくて遠くのものがぼやけて見える状態です。


眼球は、体が成長する時期に伸びることが多く、年齢が低いほど早く進みます。10代後半まで進行します。


近視が進行すると、大人になってから緑内障や網膜剥離、近視性黄斑症などの眼の病気になるリスクが高くなることがわかってきました。


近年ライフスタイルの変化により、世界的に、特にアジアで若い人の近視が増えていることが問題になっています。




近視の原因


近視の原因は、遺伝的な要因と環境的な要因が関係すると考えられています。


遺伝的な要因というのは、両親のいずれかもしくは両方が近視だと子どもも近視になりやすくなるということです。


近視を引き起こす主な環境要因としては、子どもたちが外で過ごす時間が減ったこと、長時間の勉強、読書、スマートフォンやタブレット、ゲームなどのデジタル機器を見つづけるなどの近業(近くにピントをあわせること)が増えたことがあげられます。




近視を予防するには


近視を予防するには、目に負担のかからない生活を送ることが大切です。


普段の生活では、屋外で過ごす時間を増やしたり、近くを見続けないように注意して、ときどき休憩をとって遠くを見て、目を休めるようにします。


近くのものを見るときは、明るい場所で姿勢をよくして30 cm以上離すようにします。







近視進行抑制治療の目的


一度大きくなった眼球を小さくすることはできません。


小児期にできるだけ近視が強くなるのを避ける(眼軸長が伸びるのを防ぐ)ことで、将来、眼の病気になる可能性を低下させることが近視進行抑制治療の目的です。




低濃度アトロピン点眼薬とは


低濃度アトロピン点眼薬は、近視の進行をおさえる目薬です。


アトロピンの近視進行抑制の効果は、眼球が大きくなるのをおさえる(眼軸長の進展を抑制する)ことによると考えられています。


完全に近視進行を止めたり、近視を治したりすることはできません。


0.025%、0.01%アトロピン点眼は、海外だけでなく日本の小中学生の近視に対して有効性と安全性があることが確認されています。



眼鏡がいらなくなりますか?


低濃度アトロピン点眼は近視の進みをゆっくりにはしますが、裸眼視力(眼鏡なしで遠くを見る視力)を回復させることはできません。


近視の程度に応じて、眼鏡やコンタクトレンズによる視力矯正が必要になります。




低濃度アトロピン点眼薬による近視進行抑制治療の対象は?


●5歳~10代後半まで


●毎晩の点眼と定期的な通院が可能な方


●軽度から中等度近視の方


●すでに眼鏡をかけている場合も対象になります。




リジュセア®ミニ点眼液0.025%とは


リジュセア®ミニ点眼液0.025%は、防腐剤を含まない一回使い切りタイプの低濃度アトロピン点眼薬です。


参天製薬株式会社とシンガポールの国立眼科・視覚研究所(Singapore's national research institute, SERI)により共同開発され、2024年12月に厚生労働省によって

製造販売が承認されました。


5歳~15歳の近視患者を対象とした日本での臨床試験において、プラセボ点眼(アトロピンの成分を含まない偽薬)を使用した場合に比べて、小児の屈折値(近視の度数)の進行や、眼軸長の伸びを抑制する効果があることが確認されています。





どんな治療ですか?


1日1回寝る前に1滴点眼します。


他の点眼薬を使用している場合は、5分以上あけて点眼してください。


コンタクトレンズを使用している場合は、レンズを外した裸眼の状態で点眼してください。





副作用はありますか?


瞳孔(黒目)が開いて、まぶしく感じたり(羞明)、かすんでみえる(霧視)ことなどが報告されています。


これらの症状やその他の異常が現れた場合は、受診してご相談ください。




いつまで治療を続けたらよいのでしょうか?


少なくとも2年以上、可能であれば10代後半くらいまでの治療継続をおすすめしています。




点眼を中止するとどうなりますか?


低濃度アトロピン点眼薬治療を中断すると、近視が再び進行しやすくなる(リバウンド)可能性があるという研究結果があります。




リジュセア®ミニ点眼液0.025%による治療スケジュール・費用


当院でリジュセア®ミニ点眼液0.025%による近視進行抑制治療をご希望の方は、最初に検査・診察と3日間の体験治療を受けていただきます。


検査後、適応と判断されれば治療開始となります。


副作用等がなく、治療継続に問題がなければ、3ヶ月毎に定期的に来院していただき、検査をして効果をみていきます。


検査・薬剤費用は、全て自由診療(公的医療保険の対象外)となります。


【価格】

診察代 1回

  3,000円 (税込)


リジュセア®ミニ点眼液0.025% 

  1ヶ月1箱30本

  4,000円 (税込)


くわしくは、下の表をご覧ください。





治療の注意点


低濃度アトロピン点眼による近視進行抑制治療は自由診療(保険適用外)です。


近視進行抑制治療中は、眼鏡やコンタクトレンズ処方も自由診療になり、診察代がかかります。


近視進行抑制以外での保険診療の診察は別日に受診してください。

例えば、近視進行抑制治療の定期検査の日に花粉症や結膜炎の診察は行えません。

オルソケラトロジーの検診は同じ日に可能です。




その他の近視進行抑制治療


現在、近視の進行予防としては、低濃度アトロピン点眼液の点眼のほか


オルソケラトロジー(ナイトレンズ)や多焦点ソフトコンタクトレンズなどがあります。

オルソケラトロジーや多焦点ソフトコンタクトレンズは近視進行抑制としては国内未承認です。


低濃度アトロピン点眼薬は、オルソケラトロジーや多焦点ソフトコンタクトレンズと組み合わせて使用することが可能です。

オルソケラトロジーと低濃度アトロピン点眼薬を組み合わせて継続することで、近視進行抑制の効果がより高まると報告されています。




治療希望の方は・・・


低濃度アトロピン点眼薬 リジュセア®ミニ点眼液0.025%による 近視進行抑制治療について ご興味のある方、体験治療をご希望の方は、 福岡院長、濱田理事長、川野医師 外来日に受診してご相談ください。


各日の外来担当医については、 当院ホームページの 担当医カレンダーをご確認ください。




<参考になるサイト>










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